空き家の片付け・遺品整理

空き家の片付け方法をチェックしましょう

空き家が解消されない原因の一つとして、家具や家財、遺品の片付けがあります。すぐに片付ける必要がない場合を除いては、空き家の中に残しておくと、いつまでも空き家の活用が進まず、売買・賃貸・解体のいずれかを予定していても、片付けておく方が活用は早くなります。
そこで、空き家にある物をどうすればよいのか?
保管・売却・寄付・遺品供養・処分の方法をチェックしていきましょう。

方法1:保管

片付け方が分からない、処分の決心がつかないといった一時的な対応として考えられるのが保管です。

保管する目的については、それぞれ異なるので、分類して保管するのが望ましいといえます。

日記/手帳/住所録/手紙/ハガキ/年賀状

相続の際に事実関係を調べたり、故人と交友のあった人達に亡くなったことを連絡したりする用途で使います。

契約書/権利書/借用書

権利関係は、相続人に相続されますので、むやみに捨てるべきではありません。遺産分割協議で権利を相続した人に引き渡されます。

株券/保険証書/年金手帳/預貯金通帳/印鑑

相続財産に関わるもので、名義変更や届出を必要としますので、遺産分割協議と各種手続きが終了するまでは処分出来ません。その他、財産として価値がある貴重品も含め、厳重な保管が必要です。

クレジットカード

クレジットカード契約は本人に帰属するものとして相続出来ない為、カード会社に本人死亡を伝え、解約手続きするまで保管します。ただし、未払い分は支払い義務が相続されますので清算の必要があります。ポイント等については失効しますが、マイルについては引き継ぐことが出来る場合がありますので、カード会社に確認しましょう。

診察券

受診しなければ使わず、亡くなると不要ですが、診断書や保険関係の証明書の請求で提出を求められることがありますので、相続手続きが終了するまでは保管の対象になります。

仕事上の資料/会計帳簿

内容の重要度の判別が難しい為、勤務先や同僚に確認するなどしてから処分するかどうか判断します。会計帳簿については自営業だった場合は7年間の保管義務があります。

将来活用するものの保管

大きさの小さなものは保管場所に困りませんが、家具・家電など大きなものはトランクルームサービスの利用がおすすめです。トランクルームサービスの形態には2種類あり、1つは倉庫事業者が寄託契約を結ぶ形で物品を預けるタイプで、もう1つは非倉庫事業者が賃貸借契約を結ぶ形で保管スペースだけ提供して自由に出し入れ可能なタイプです。
前者はトランクルーム、後者はレンタル収納スペースとして提供されていることが多く、保管物が重要ならトランクルームを、利用頻度が高く使い勝手重視ならレンタル収納スペースを活用するとよいでしょう。
トランクルームサービスを探す場合には検索サイトを利用するのが便利です。

方法2:売却

売却出来るかどうかは、買う側で価値があると判断した場合になる為、売る側の主観では決められません。

売却先としては、リサイクルショップ、古本屋、古着屋、貴金属店、質屋、オークションへの出品等です。

家具

目安として10年を経過していると、ブランド家具やアンティーク以外は対象外です。また、メーカーが不明か、特定できない場合も同様で、特に組み立て式の家具は総じて価値が小さくなります。

家電

原則として、通電状態で動作確認できるものだけが対象で、PSEマークも重要です。目安として4,5年前の型落ちまでになりますが、動作確認できなくてもジャンク品としてタダ同然、または無料で引き取ってもらえる場合があります。

ブランド品/時計/貴金属

査定次第なので、価格についてはバラバラで、製造年よりも流通量に影響されやすい特徴があります。過去に流行したものは認知された高級ブランドで程度がよくても価格には反映されない傾向です。貴金属は再加工する前提で、グラム単位で取引するところが多いですが、メッキは対象外です。

衣類/靴

古着屋やオークションでの売却となりますが、衣服なら型崩れやほころび、靴なら底の摩耗や表面の傷で評価が変わります。また、流行り廃りが早いので、キレイであっても古いと値段には反映されません。重さで買い取るお店もありますが、値段はあまり期待できません。

骨董品/絵画/掛け軸など美術品

元々の価値が不明で、査定してもらっても提示された金額も価値相応かどうか分からない場合が多いです。
損得を考えてしまうと迷いますので値段が付けば良い位の方がよさそうです。

書籍/CD/DVD/レコード

傷や汚れがないことはもちろんですが、ブックオフ等の大手では、絶版や廃盤になっていても、その価値を考慮して買い取られることは僅かなので、本当に希少価値のあるものはオークション等で売却した方が高く売れると考えられます。

食器類

未使用を前提としている買取業者も多いですが、必ずしも未使用だけとは限らないので、使用済みの食器を買い取ってくれる業者を探すのが先決です。また、ブランド食器はあまり期待できない傾向です。

方法3:寄付・寄贈

寄付・寄贈の対象は決まっておらず、ほしい人さえいれば何でも対象になりますが、自分本位の押しつけにならないように気を付けたいところです。

個人への寄付・寄贈

誰が欲しいか分からないので相手が見つからず意外と時間が掛かるかもしれません。地域コミュニティや、ネットコミュニティで「譲ります」「差し上げます」といった欄に掲載するのもよいでしょう。

公共性のある団体への寄付・寄贈

対象としては、学校、幼稚園、保育園、図書館、児童館、児童養護施設、介護福祉施設、病院、NPO法人など公共性がある施設です。恵まれない子供たちへの慈善事業を目的に受け付けている団体もあり、身近な地域以外にも寄付・寄贈先を探すのは可能です。

方法4:遺品供養

親など居住者が亡くなり、相続人等が空き家を片付ける段階で悩むのが遺品供養です。
そもそも何を遺品と考えるかは人それぞれで、供養が必要と考えるかどうかも異なる為、遺品供養の対象は決まっていません。

一例として、次のようなものは供養の対象にされることが多いようです。
・仏具や神棚、お守りなど
・人形やぬいぐるみ
・故人の写真や手帳
・故人宛の手紙や年賀状
・故人が最後に使っていた衣服や寝具
・故人が専用で使っていた家具
・故人が記された表札や印鑑
・葬儀の際に使った物品
・その他故人の収集品など
遺品供養は、本来なら神社やお寺に依頼して行うものですが、近年は環境面の配慮から自粛する神社仏閣が増えてきました。そのため、遺品整理を専門に行う業者も多く存在します。

業者に依頼すると、単なる焼却処分ではなく、供養(読経)してもらった上で処分するので、遺品の片付けや分別に困ったら、すべて業者に委託してしまうのも1つの方法です。

方法5:処分

この場合の処分とは、いわゆる廃棄を前提とした処分のことになります。
一般ゴミと分別し、処分可能かどうかの話になりますが、自治体によってごみ収集の対象としていない品目があるので要注意です。
また、これも自治体によってゴミ袋が指定になっている地域もあり、コンビニやスーパーで購入が必要です。

家電リサイクル法の対象家電

エアコン、テレビ、冷蔵・冷凍庫、洗濯機、乾燥機の4品目については、ゴミとして収集はされておらず、購入店に引き取りを依頼することになります。購入店がない、購入店が不明、遠隔地で難しい場合には、一般廃棄物処理業者に依頼することになります。その際、リサイクル料金(運搬引き取りの場合運搬料金必要)の負担があります。

パソコンの処分方法

パソコンもゴミとして収集しない品目ですが、メーカーによる回収が行われています。まずは、パソコンに「PCリサイクルマーク」があるか(シールが貼られているか)確認します。PCリサイクルマークのないパソコンは、メーカーが現存するするならメーカーに、自作パソコン、メーカーが現存しないパソコンは処理事業者に依頼が必要です。いずれもリサイクル料金が発生し、処理事業者としては「パソコン3R推進協会」が、各市区町村で推奨されています。

その他の処分方法

用途がなく処分を考えていても、可燃ゴミ、不燃ゴミ、粗大ゴミ以外として出すことが出来るゴミ以外に、適正処理困難物と呼ばれる収集されないゴミも存在します。
それから、分別も自治体の運用次第ですから、詳しいことは分別のパンフレットで確認するか、市町村への問合せが確実です。例えば、同じプラスチック製品が、小型なら可燃ゴミ、中型なら不燃ゴミ、大型なら粗大ゴミという分別の自治体もあるので、出したことのないゴミについては、確認した上であらかじめ分別しておくのがよいです。